世界に1冊の手帳、どうやって作ってるの?「ネットde手帳工房」の製造現場へ

※現在サービスは終了しています※

今年9月からスタートした完全オーダーメイドの手帳「ワタシメイド手帳」が作れるサービス「ネットde手帳工房」。これまでの手帳の概念を覆した画期的なサービスで、「毎日、文房具。」でも以下の記事を掲載したあと、大きな反響がありました。

■ 手帳は完全オーダーメイドの時代へ「ネットde手帳工房」

なぜこのサービスが画期的なのか? それは、これまで1冊からオリジナルの手帳を印刷してくれるサービスがなかったから。1冊ずつ、ページごとに違う中身を印刷して手帳に製本し、消費者に届けるのは、技術的にとても難しいことでした。

それを専用のシステムの開発と印刷・製本会社の協力のもと低価格で実現したのが「ネットde手帳工房」なんです。今回は注文した手帳がどんな手順で出来上がり、ユーザーの手元に届くのかを見学してきました!

世界に1冊だけの手帳を作る現場に行ってみました

ワタシメイド手帳は東京の下町にある2つの会社の協力を得て作られています。印刷・発送を担当するのが株式会社サンコー。製本を担当するのが篠原紙工です。

(1)注文を受けたら、まずは印刷!

ウェブサービス上で手帳の注文を受けると、自動で印刷用のデータが作成されます。そのデータが、まずはサンコーの担当部署へと送信されます。

▲株式会社サンコー。墨田区にある印刷会社で、コワーキングスペースも運営しています

データを受け取ったら、担当者がモニターでチェック。その後オンデマンドプリンターで出力します。1冊から消費者のもとへ手帳を届けられるのは、少部数の印刷に対応したオンデマンド印刷機を活用しているからなんです。

1枚目をテスト印刷したあと、表と裏の印刷にズレがないかを確認します。通常、多少のズレがあるので、細かな位置の微整が必須です。ここではプロの経験と勘がものを言います。

きっちりと位置調整したら、あとは連続で印刷してOK。100枚(1冊分)ずつ印刷していきます。

 icon-angle-right 用紙へのこだわり

 

ワタシメイド手帳は本文の紙にもこだわりがあります。目に優しいクリーム色で、100枚(200ページ分)綴じても厚さが抑えられる薄い用紙が採用されています。どんな筆記具でも書きやすく、万年筆も裏抜けしません。何十種類もの紙を試して選んだこだわりの用紙だそうです。

印刷後、明らかな印刷不備がないかチェックしてから梱包し、製本作業を行う篠原紙工へと搬送します。

(2)断裁と製本、そして仕上げの断裁へ

▲江東区にある篠原紙工。様々な綴じ加工と折り加工を得意とする紙の加工会社です

篠原紙工へ到着したら、まずは1冊分ずつに断裁。大きな断裁専用の機械を使って慎重に作業していきます。

断裁したら、続いては製本へ。世界で1冊しか印刷しない手帳なので、通常の印刷物にある余部(予め多めに印刷している余剰分)はありません。ですから製本も一発勝負。絶対に失敗できないからこそ、確かな技が必要とされます。

 icon-angle-right 製本へのこだわり

ワタシメイド手帳は「PUR製本」という特殊な糊を使用した方法で製本されています。PUR製本は開きやすく、かつ丈夫なのが特徴。手帳は開きが良くないと使うときにストレスになってしまいます。また、1年間持ち運んで使い続けるものですから、ラフに使っても問題ない丈夫さが必要なのです。

製本後、再び断裁機へ。最後の断裁を行います。

ここでは仕上がりを美しくするための一手間が。一辺を一度で断裁するのではなく、わざわざ二度刃を通して断裁するそうなんです。そうすると一度の断裁よりも切り口がきれいに整うのだとか。

通常は一度の断裁で済ませることが多いそうですが、「手帳は1年間毎日使うものだから、少しでもよい状態で出荷したい」と断裁担当者のこだわりでこの方法が採用されました。

▲二度断裁するとこのように断面がきれいに整います

(3)確実&スピーディーに発送

出来上がった手帳は再びサンコーへと運ばれ、注文したユーザーの元へと発送されます。

印刷・製本された手帳の裏表紙には識別用のバーコードが付いていて、それを読み取ると宛名ラベルが発行され、該当ユーザーのもとへと間違いがないように発送される仕組みになっています。

  配送へのこだわり

 

ワタシメイド手帳は従来の大量印刷のカタログ等と違い、たった1冊の手帳を、それを注文したユーザーのもとへ確実に発送しなければいけません。この配送作業で間違いが起こり、手帳が違うユーザーの元へ届いてしまったりしたら大問題。ですので誤配送を防ぐため、このサービスのために開発した特別なシステムで正確な配送作業が行われています。

注文してから手元に手帳が届くまでの期間は約2〜3週間。その間にこのような行程を経て、ワタシメイド手帳はユーザーの元へと届けられます。

「ネットde手帳工房」サービス責任者の小野さんは2年半もの時間を準備にあて、このサービスを立ち上げました。もっとも大変だったのは、印刷と製本をしてくれる協力会社を探すことだったそうです。

たったひとりのユーザーのために、オリジナルの手帳をたった1冊だけ印刷・製本するという、前例のないサービス。「そんなことはできない」「コストに見合わない」と多くの会社に断られる中、サンコーさんと篠原紙工さんはサービスの理念に共感し、「一緒にやり方を考えましょう」と言ってくれたそうです。そこから各会社の担当者全員で知恵を出し合って印刷・製本方法を模索し、サービス開始までこぎつけました。

「それぞれのユーザーに本当にぴったり合う手帳を届けたい。そして手帳ビジネスにおける無駄や廃棄処分をなくしたい。そんな思いから始まったのがこの『ネットde手帳工房』。協力してくれるたくさんの方の知恵と工夫、そして丁寧な仕事によって支えられています」(小野さん)

手帳は自分の相棒であり、かけがえのないパートナーでもあります。あなただけのパートナーになってくれる世界に1冊だけの手帳を、自らの手で作ってみませんか。

こんなあなたにおすすめ!

 

  自分に合った手帳がなかなか見つからない方
  手帳には細かい部分までこだわりたい方 
  自分に必要な情報やページが入った手帳が欲しい方

Infomation

ネットde手帳工房|キヤノンITソリューションズ
https://techo-kobo.net/  ※現在サービスは終了しています

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