友達がいない真面目な弁護士「石田徹子」とその徹子の遠い親戚で、男をその気にさせる天才詐欺師の「小谷夏子」。徹子は夏子がトラブルを起こすたびにその後始末を任されるのだが、誠実な調査と時に切れ味鋭い刀で見事にトラブルを解決していく。その様子が大変心地よい。対照的な二人の人生を追いかけながら、生きる意味や幸せについて考えさせられる一冊。
さて、そんな主人公徹子について以下のような描写がある。
私にはなんの趣味もないが、文房具だけには弱く、新しい物を見れば、買わずにはいられなかった。文房具には知恵と工夫が詰まっているので、眺めるだけでも楽しく、使えば、思わず感心してしまう。買った文房具は、すべてを試したうえで、その日の気分で使い分ける。最新の物を選ぶ日もあるし、ロングセラーの定番物を手にする日もあった。(「嫌な女」本文より抜粋)
文房具好きの方なら共感できるのではないだろうか。ストーリーの中でさりげなく文房具が出てきて良いスパイスになっている。(しかも実在する商品名で出てくるのでとてもイメージがしやすい。)徹子のコレクションを覗いてみたいが叶わないのが残念である。
こんなあなたにおすすめ!
・フローティング・アクション・ペンが好きな方
・文房具を集めるのが好きな方
Information
嫌な女|光文社文庫
http://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334765767